動きをだす

動きをだす、と言うと、関節の柔軟性や前屈などを思い出す方も多いと思いますが、動きをだしたいのは、「使われていない筋肉」です。

疲労のひどい方や、肉体労働の方などは、使っていない筋肉なんかない!全身凝っているんだ、という方もいますが、9割以上の方がふだん使わない筋肉があります。

それは下っ腹引っ込め筋と引き上げ筋です。
名前は腹横筋と骨盤底筋群という筋肉です。
腹横筋はお腹を引っ込める筋肉、骨盤底筋群は肛門を締め、引き上げるような筋肉です。

腹横筋はお腹の前面を覆うように横向きの繊維でできています。
おへその下を凹ます、ということはほとんどの方ができません。
できても、一時的で、かえってみぞおちや首などに力みが入ってしまいます。
その筋肉と協調して動くのが骨盤底筋群です。

年齢により子宮脱、脱肛、失禁、便秘や痔などが多くなるのもこの辺りの緩みすぎが原因になることが多々あります。

また、出っ尻、そり腰、下腹ぽっこり、下半身のむくみなど、この筋肉が動かないことで体型にも大きな影響がでるところです。

さて、この下っ腹の奥、じつは「丹田」と呼ばれ、人体の動きの中心です。
逆に言うと、ここを中心に動く、ということなんです。
背骨の土台となる骨盤のほぼ真ん中、そこをブレないようにしっかり固定して、安定させる大事な筋肉が腹横筋と骨盤底筋です。

この筋肉たちをまず目覚めさせ、しっかりと土台の固定ができるように使いこなすための「動きをだす」のがまずは第一です。

その固定ができる、あるいは感覚がつかめると、その他の部分の動きの改善に直結していることが体感できます。

力が抜けない、リラックスできない、という方が多くいらっしゃいますが、最も重要な場所に力がないため、他の場所が負担してくれている、ということです。

土台がグラグラな家を想像してみてください。
どれくらいの補強と修理が必要でしょう?

どんなに補強しても古くなればもっと修理が必要になります。

まずは土台固めのための動きをだします。
その後、その方にとって必要な関節運動を向上させるための運動を誘導と抵抗を適宜加えながらおこない、その場で動きの改善を確認していただきます。

使われていない筋肉や関節可動域を、ご自分で改善することはほぼ不可能です。絶妙な誘導をご体験ください。

誘導されつつ(インプット)ご自分で動く(アウトプット)ことにより、中枢・抹消神経系にも好影響を及ぼし、ご自身で動きを再現できるようになります。